教務時間割係のつぶやき
時間割係の仕事は、思った以上に大変!でも解決方法はあります。きっと…!
1.悪戦苦闘の春休み
2.今年も時間割作成係
3.初めての挑戦
4.全工程を電子化
5.授業変更係の改革
悪戦苦闘の春休み
3月末から4月初めの1週間、いや2週間。時間割作成係の悪戦苦闘の日々。まずは、学年末の仕事の合間を縫って、時間割編成板(時間板)の駒作り。教師用時間板とクラス用時間板に入れる駒をそれぞれ2種類用意する。教師用時間板の駒には科目名とクラス名を、クラス用時間板の駒には科目名または選択科目名をサインペンで書き込む。すべての駒を作ったら点検しないといけない。時間板に駒を入れ始めてから、駒が足りなくなったり余ったりすると、何倍もの時間と労力がかかってしまう。
次に時間板に駒を入れていく。まずは、HRなどの曜日・時限が決まっている固定駒を入れる。これは楽勝ですぐ終わる。
続いて体育の駒。体育は体育館を使用するためどうしても他のクラスと一緒にならざるをえない時間もあり条件がきつい。時間割編成では条件の厳しい駒から入れるのが鉄則である。駒を入れたら教師毎に、連続授業、午前と午後の偏り、曜日間の偏りなどをチェックし、その後体育科で確認してもらう。時間割が完成してから駒を移動するのは超大変。時間がかかっても苦情の種はつぶしていかないと…。
続いて選択科目の駒、時間続きの駒、特別教室を使用する駒を入れる。目的の駒をすべて入れたら個々の教師に着目し、連続授業、午前と午後の偏り、曜日間の偏りなどを簡単にチェックしておく。
さて、ここからが勝負。残りの駒を入れる。最初はバランスを考えながら、中盤からはとにかく駒を入れることを最優先する。でも徐々にきつくなる。終盤ではそう簡単には駒が入らない。教師用時間板とクラス用時間板を見ながら空いている時間を捜してもなかなか見つからない。あれっ!クラス用時間板の駒が間違っている。修正してやっと1駒入れる。もう限界だ。疲れたので今日はやめよう。翌日、再び考えると駒が入ることもある。1駒入れるのに数時間かかることもある。先の見えない不安に襲われる。時間割作成係に特別手当がほしい。そんなことを思いながら、悪戦苦闘の末、やっとすべての駒を入れ終える。これで授業は一応できるので一安心。でもこのままではいけない。個々の教師に着目し、連続授業、午前と午後の偏り、曜日間の偏りなどをチェックし、授業効率が良く授業のしやすい時間割を作らないと苦情の嵐がやってくる。
最後に出来上がった時間割をパソコンに入力する。同時に教師用時間板とクラス用時間板の駒が一致しているかの確認作業も重要だ。単純な作業だが時間はかかる。
明日からいよいよ新学期だ。時間割を印刷し、全職員に配布する。2週間は試行期間だ。あれだけ時間をかけて一生懸命作成したのだからきっとほめてくれるはずだ。と思った矢先、午後に駒が偏り過ぎだとか、2単位の科目が月・火で連続しているだの苦情が来る。さらに授業が始まると、授業がバッティングしているとか、特別教室が空いてないことが判明する。これは直ちに修正しなければいけない。チェックはしていてもやっぱりミスがでる。だって人間だもの。かくしてどうにかこうにか試行期間も終わり、先生方の要望もできる限り答えながら、そして誰からも労いの言葉もなく、今年の時間割編成作業が終わった。
今年も時間割作成係
穏やかな春の日差しが降り注ぐ教務室で、少しお疲れ気味の先生がなにやら訴えかけている。「教務主任。もう、時間割作成係やめさせてください。」
「どうして?」
「もう疲れました。」
「大変な仕事だもんね。」
「一生懸命やっても、結局苦情が多いし、やってられません。」
「私も時間割作成係をやったことがあるので、先生の気持ちは良く分かります。」
「先生も経験者だったんですか。」
「そうだよ。校務の中で一番大変な仕事かもしれないね。」
「そうですよね。」
「けどね。だれでもできる仕事じゃないしね。他に適任者がいないんだよ。」
「そんなことはないと思いますけど…」
「今年も、是非先生にお願いしますよ。」
「うーん…。そうですか…。それじゃ、時間割作成ソフト買ってくれませんか。」
「時間割作成ソフトはあまり使い物にならないみたいだよ。」
「ホームページをみると簡単にできそうなんですけど…。」
「私も以前いくつか試してみたんだけどね。いまいちだったね。」
「それは何年くらい前ですか?」
「10年以上前かな。」
「なるほど…。だめもとで今一度私の方で調べてもいいですか?」
「いいけど。うちみたいに選択科目の多い高校では無理なんじゃないの?」
「もし、使えそうなソフトがあれば購入を検討して頂けますか?」
「分かった。それで仕事が楽になるようであれば事務に頼んでみるよ。」
「ありがとうございます。早速調べてみます。」
まずはネットで検索して、比較・検討だ。
「時間割作成ソフト」と入力して、検索!
その時、ドアをノックする音。
「先生!ちょっと質問があります。今いいですか?」
初めての挑戦
時間割作成ソフトを比較・検討しようとしてから月日は流れ、そして気付けばもう3月である。いや、途中で何度か試そう試そうと思いつつ、日々の仕事に追われ今日に至ったのである。「忙し過ぎたのが悪い」と言い訳しても、容赦なく魔の時間割の時期がやってくる。何とか善後策を考えねばならない。今までと同じやり方はもういやである。何かいい方法はないものか?教務主任に頼んで評判の良さそうな時間割作成ソフトを買ってもらおうか。でも、評判だけでは選択科目の多いうちの学校に適合するかどうか不安だ。かと言って、いまさら比較・検討する余裕などない。どうしたらいいのだ。
幸い時間番では体験版でも実際に時間割を組めるようなので、ダウンロードして新年度のデータで試すのが一番良さそうだ。ただ、時間番でうまくいくとは限らない。セーフティネットは必要だ。幸いにも時間割作成係は4人いる。私1人で時間番で、そして残りの3人で従来の方式(時間板)でやってもらうことにするか。うまくいきそうなら、今年は自腹で個人ライセンスを買うことにしよう。出費は痛いが、何とか買える値段だ。背に腹は代えられぬ。
そして月末。時間割作成作業が始まった。今年は時間番と時間板の同時並行作業である。私はデータの入力作業から取り掛かる。まずは教師名、クラス名、科目名はエクセルから張り付ける。特別教室名、選択科目名、選択クラス名は後からにして、早速コマデータを入力しよう。まずは単独コマからだ。[単独コマ一括入力]機能をヘルプで確認。なるほど学年毎に科目の単位数を入力すると、〔科目〕、〔クラス〕、〔時数〕の3項目が自動入力できるのか。あとは担当教師名を入力するだけだ。これは楽ちん。次は選択コマだ。ヘルプで選択コマの入力方法を確認。まず選択科目名と選択クラス名を入力してから、次にコマデータだ。あれ?選択コマはどうやって入力するんだっけ?あ!そうだ[コマデータ入力補助]機能を使おう。よしよし、後はこれをまねて入力すればいいわけだ。思ったより簡単に入力できた。ちょっと遅くなったが、お昼休憩にしよう。
さて、お昼も食べたし、もうひと頑張りするか。次はコマの確認だ。[時数の確認]機能を実行する。データエラーだ。そうだ。F1キーを押してみよう。データエラーのウィンドウのヘルプが表示できた。なるほど、表示されたデータエラーをクリックするとその個所にジャンプするのか。これなら簡単に直せるぞ。これでデータエラーは修正完了。再度[時数の確認]機能を実行。あれれ!今度は時数が合わない教師とクラスが出てきた。ここでも、F1キーを押してみる。指定する教師のコマをまとめて表示できる機能があるわけね。これならチェックも簡単だ。続いて[データの確認]機能を実行。またもや、データエラーが出てきたけど、さっきと同様にすればいいわけだ。これで基本的なコマの作成が終わった。途中ちょっと焦ったけど思ったより簡単!しかも従来の駒作成に比べたら比較にならないほど超楽ちん。
次に、コマの付帯条件を入力しよう。まずは特別教室の指定。あとは各教科からの要望だ。面倒な条件もあるぞ。もう一度[ヘルプ]の『コマの作成方法』で関係ありそうな個所だけざっと読んでおこう。教師名、科目名、クラス名が同じでも、条件が異なるコマはそれぞれ別のコマとして分けて入力すればいいだけだね。よし!とりあえず入力だ。体育館の使用は3展開まで。音楽は1限を避ける。3年の家庭科は2時間続きで3・4か5・6に。英語Rと英語Wは別日に。英語の非常勤は月、水の午後はだめ。などなど…。予め入力できるものは入力して。割付条件で処理できるものは割付条件で対応しよう。あれこれ悩みながらも一通り条件も入れたが、今日はもう疲れた!今日はこの辺で作業終了!
よーし、今日もがんばるぞ!いよいよコマの割付だ。割付条件の画面が出てきた。割付条件は@必須条件とA緩い条件の2通り用意すればいいのか。割付条件で不明な点はF1キーを押して調べて設定する。あとは[OK]ボタンを押すだけだ。ちょっと緊張するな。カチッ。画面の数字が動いてる。「時間番頑張って」とつぶやきながら席を立とうとしたその時、ポロロン。いったい何の音だ。あれ!もうコマの割付が終わったの?うそみたい!確認!確認!ちゃんとコマは入っているようだ。良かった!感激!一通りコマの割付までできれば十分である。善は急げだ。HPからダウンロード版を申し込み、スマホから入金して、休憩しているとメールの着信がある。もう、製品番号が届いた。(この購入方法は停止中の可能性があります。)早速製品登録をする。さらに驚いたことに先ほど作成した時間割もそのまま使える。うれしい限りだ。
それでは作業を続けよう。次はコマのバランスを良くするための適正化だ。適正化は、必ず満たしてほしい必須条件から初めて、徐々に条件を付けくわえながら行えばいいのか。まずは、先生の1日の授業時数を4時間以下にしよう。あっという間に解消できた。次に1日の連続授業時数を2時間以下にしよう。これもあっという間に解消できた。次に2単位の科目が曜日で連続しないようにしよう。これはなかなか時間がかかっているな。あれ!解消できないコマが出てきたぞ。曜日間のコマの移動は結構大変なんだ。それでは順番を入れ代えて、1日の連続授業時数のチェックを外して、先に曜日連続を解消させてみよう。今度は解消できた。これで1日の連続授業時数を2時間以下にしたらどうかな。今度はうまくいった。なるほど、コマのバランスの解消はその順番も重要なんだ。しばらくあれこれ試行錯誤していると、従来の作業グループが様子を見にやってきた。
「先生。どんな具合ですか?こちらは駒のチェックが終わったところです。」
「なかなか時間番は優れものだね。ほぼ時間割が出来ちゃったみたい。」
「えー!もう?嘘でしょ!」
「それがほら!見て!」
「本当だ!感動ですね。」
「そっちの作業は中止してもいいみたいだね。」
「やった!」
「もう少しこちらで頑張るので、時間割が出来たらチェックしてもらえるかな?」
「分かりました。」
しばらく試行錯誤して、ようやくほぼ完成。後は教師一覧表を印刷して確認してもらおう。
確認作業によって、小さな手直しが見つかったが、それほど大きなミスもなく時間割が完成した。驚くべき速さだ。
従来の一覧表に加え、先生用とクラス用の個表も配布したので先生方にも喜ばれた。
そして、2週間の試行期間もほとんど苦情もなく終わった。奇跡だ。
全工程を電子化
今年は時間的に余裕がなかったので時間番を個人ライセンスで購入したが、来年度からは係として使えるように時間番の学校ライセンスを購入してもらうことにした。さて、今のうちに来年度に向けて時間割作成作業の見直しをしておこう。幸い時間番には感想を送ればもらえるアプリがあるので、もらって使えるかどうか検討しておこう。
時間割作成係のコマデータ入力が不要になるアプリは興味深い。誰が何の科目をどのクラスで何時間受け持つかというコマデータをこのアプリで入力してもらえば、時間割作成係の入力作業が大分省力化できそうである。従来もコマデータは各教科からエクセルデータで提出されていたわけであるから、ほとんど問題はないであろう。かえってこのアプリを使った方が各教科の入力が楽になりそうであるから、反対はされまい。
時間割一覧表のコマを自動で装飾するアプリか。このアプリを使って学年毎にコマの背景色と文字色を変えれば、確かに時間割が見やすくなるかもしれない。ただ、係の仕事は増やしたくないのでしばらく保留にしておこう。
時間割一覧表から個別時間表を作成するアプリは利用価値が高そうである。今年は先生用とクラス用の個表を印刷して配布したが、エクセルデータとして提供する方が好きなように編集できるので喜ばれるであろう。係にとっても配布作業が減るので好都合である。このアプリは係、先生ともWinWinであるので、ぜひ採用したいと思う。
これらアプリの使用の是非を係で相談した結果、時間割作成係のコマデータ入力が不要になるアプリと時間割一覧表から個別時間表を作成するアプリは採用することになった。
時間番とアプリのおかげで、2年目にしてコマデータ入力から時間割配布までのすべての作業をペーパーレス化でき、係にも先生方にも喜ばれたことは言うまでもない。
授業変更係の改革
時間割作成係を引き受けると、なぜだか知らないが授業変更係も付いてくる。慣れた人にやってもらおうということか?誰でもやれる環境が必要だと思うけど…。まあ、いまさら愚痴を言ってもしかたあるまい。時間割作成は時間番でうまく乗り切れた。そこで思った。日々の授業変更も何とかならないものか?年度初めの時間割作成ほどにはへとへとになることもないが、毎日のこととなると結構しんどい作業である。年間の時間からすれば日々の授業変更の方が長時間労働である。2週間前に先生方から出された出張・年休などをもとに、できるだけ自習時間が出ないように紙上で授業変更を行い、転記し1週間前に発表する。細心の注意を払って作業するわけであるが、どうしても授業変更ミスや転記ミスを皆無にすることはできない。働き方改革のためにも、これもパソコンでやれないものか。幸い時間番には姉妹品の日課番がある。体験版を試してみたいが時間に余裕がないで、だめもとで日課番の学校ライセンスを購入してもらえるように頼んでみよう。
1ヶ月後、すんなり購入許可がおりた。やはり時間番の成果が大きかったようだ。
日課番の使用方法は時間番とほぼ同じであるから、授業変更から印刷までストレスなく、従来よりかなり短時間で済んだ。あとは印刷物を先生とクラスに配布して、授業前日に教務室の授業変更黒板に記入すればOKである。
他の授業変更係の先生にも日課番を使用してもらいながら1学期間様子をみたが、授業変更ミスもなくなり好評であった。日課番を導入して本当によかったと思う。係の仕事が大分楽になった。
授業変更係の労力と作業時間をさらに減らすためには、授業変更黒板への記入もなくしたい所であるが、あまり一度に改革すると風当りが強くなるので今年度はこのままで様子をみることにしよう。